ゆったりと重い幻想と記憶が揺蕩う。
山田太一原作。前々から自分のレーダーに入っていたからどうせ観ていたけど、小島監督が今年一番かもと言っていたので早めに観に行きました。
小島監督がハマった理由は彼の父親が若い頃に亡くなったことが大きく影響しているんだろうね。納得。
当然ゲイの映画ではあるんだけど、どちらかといえば死者を悼むこと、大切な人の死を乗り越えて今を生きることの難しさを描くお話だった。
かなり直接的な男同士の絡みがあって、今までゲイの映画を何本も見てきたことがあったとはいえ、ここまでの絡みを見たことがなかったからびっくりした。
いい作品だけど、終始揺蕩うような不思議なリズムで時間が経過していって、明確なプロットがあるわけでなく、役者の演技から多くを感じ取るタイプの作品だったから、特別心に残るものはなかった。
『正欲』からプロットを抜いてもっと芸術寄りにした感じ。
いい映画だった。