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異人たちのmのレビュー・感想・評価

異人たち(2023年製作の映画)
4.0
ゲイだからとか幼少期に両親を亡くしたからとかそういうはっきりした何かが要因となって寂しさを抱えているのではなくて、セリフにあるように、しこりのように胸にくすぶる漠然とした寂しさという感情をマイノリティ的な背景が刺激している。

ストーリー的には寂しさを刺激する要因が解消されるような綺麗な収まりを見せているのだけど、結局胸の内の寂しさというしこりは人生と共に残り続けるような哀愁を伴う終わり方だった。

両親の亡霊を訪ねるラストシーンにハリーは干渉できないように、アダムは何度肌を重ねてもハリーの両親の真相を知り得なかったように、誰しもが胸に抱えている寂しさとは、他人の干渉によって単純に癒えるものではなくて徹頭徹尾当人の気の持ちようでしか意に介さないようにする術はない。
しかしパートナーはどうにかしてその寂しさに寄り添ってあげたいと思うのが性なのだ。ゲイという要素とは無縁に、亡き両親への蟠りを募らせる二人の男性の共通項がその愛のバックボーンになっている。
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