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異人たちのEITOのレビュー・感想・評価

異人たち(2023年製作の映画)
3.5
孤独をエッジの効いた世界観であの深さまで追っていたところは、最近の映画にしては新鮮味に満ちていたし楽しむことができた。赤い砂漠とその節で似ているが、ストーリーがスタンダードな形をしていたので、より分かりやすく胸に来るものがあったと思う。

しかしこの作品で重要なのは「リアリティ・具体」のレベル分けがしっかりとしたボーダーを設けて成されていたかだ。
「この世のクソは夢オチだ」とどこぞのロバートマッキーが仰るように、夢も現実も単体では素晴らしいのに負荷のかかりすぎた次元(設定)の変化で冷めることは容易である。
精神世界をメインとしたストーリー、原作が小説であることは両方ともその問題を注視すべき素材だと思う。「存在し得ない彼らの死は本当の死なのか、違うのか」「触れた彼の腿や唇は文字より鮮明でパワフルな感覚を映像ではもたらすのか」「そもそも何が現実で何が非現実で、何が正しく幸せで、何が間違った辛さなのか」
誰しもが何もかものニュアンスにズレを持ち、それをオートマで補正して触れ合っているこの世の中で、何かを一方的に提示しようものなら、明確な世界観の構築は不可欠であり、正直今作品は少し曖昧、ぶっ飛んでいる気がする。(その点エンターザボイドが有能なのは終始スケールを個人と宇宙的感覚の2種に分け、共存、そしてエントロピーへと繋げたことだと思う)それならそれでOPを淡い空だけで始めるのは良くなかった(感じるべきスケールがデカすぎて自身という最小のスケールでしか捉えられないという人間の感受性を無視しているから)

あと単純に音楽が好みじゃない。
強いて言うなら男じゃなくて女の肌が好き。
カメラちっかい。
ゲイが出るとセックスしがち、クラブ行きがちだが僕はクラブで皿を回していたい方。
結局この4つが大きい。
けどキスするまでの過程のレクチャーは結構個人的に刺さるものがあった。
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