くりすぷす

異人たちのくりすぷすのネタバレレビュー・内容・結末

異人たち(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

異人たちとの夏も復習して望む。「異人たちとの夏」は公開が1988年、主人公の両親が亡くなったのがそこから20年くらい前の設定。

頑張って生きてきたけど、いろいろうまくいかなくなった主人公が、亡くなったはずの若い両親に会って、また頑張ろう、という感じ。でも主人公に拒絶されて自殺した女性が最後に悪霊みたいになってちょっと悲しすぎ。

「異人たち」では現在40代後半の主人公が、12歳の1987年のクリスマスに両親は交通事故死。同性愛が違法ではなくなったのが1960年代の英国で、1980年代はLGBTQの言葉が存在するはずもなく。この映画で音楽やポスターで象徴的に使われている フランキー・ゴウズ・トゥー・ハリウッド やペットショップ・ボーイズのように、「カミングアウト」するアーティストもぼちぼち出てきてはいたが、一般社会ではホモセクシュアリティはまだまだ異端視されていた時代。そりゃ母も自分のムスコがそうだと知ったら動揺します。こちらでも「主人公に拒絶されて自殺した男性(の幽霊?)」が最後に出てくるけど、フランキーのPower of Loveと相まって、「異人たちとの夏」よりもうすこし温かい気持ちを感じさせる。今まで気が付かなかったけど、歌詞に「Keep the vampires from your door」って部分があって、最初にこの男性が主人公を訪ねて行ったときに「ドアの外にバンパイヤがいるんだ」って言ってたのと呼応していた、とちょっとした発見がウレシイ。

「異人たちとの夏」は郷愁、「異人たち」は親子の和解/理解を描かれたと言うのが印象。「異人たち」は映画製作によって監督自体の浄化になったらよかったな、と思う。
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