にょろ

異人たちのにょろのネタバレレビュー・内容・結末

異人たち(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

原作、日本版映画は未見。
両親と会うところがあまりに自然で(なんで生きてるの!?とか無い)、そこが好きだった。でも両親も自分たちが死んでいることは理解していて、本当に幽霊的な何かとしているのか、主人公の夢なのか、いまいちはっきりしない感じで進んでいくのも意外と心地よかった。
全体的な色味や、街の風景、その中に佇む様子などから、主人公の孤独そして同じアパートに住んでいる彼の孤独がじんわりとこちらに伝わってきた。
クィアであることについての、主人公と母との対話、主人公と父との対話は苦しいものもあったが割とすんなり素直にみることができた。両親の側に、理解や受容を直ぐにはできないけど、主人公そのままを受け入れようとするような姿勢を感じられたからか?

街に出よう!と主人公たちが2人でクラブに出かけていくシーンから涙が止まらず…。
同時にそこから少しホラーテイストになって、実はこの映画ホラーだったのか…?と少し混乱した。

ラストが本当に辛い。両親との別れ、そしてその中で自分自身を改めて受け入れて、彼とこれからを生きていこうとしたところでのあのシーンで本当に本当に切なくてしんどくて。
映画の全体が静かで穏やかなムードだったので、いろいろありつつも最終的には前向きな、ハッピーエンドになるんだろうなと思っていたのだが、冷や水をかけられたような感じで、忘れられない傷を負ったような気持ち。
あの後主人公は、そして彼はどうなるんだろう…と考えてしまう。
観てよかった。
にょろ

にょろ