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軽蔑 60周年4Kレストア版のanemoneのレビュー・感想・評価

軽蔑 60周年4Kレストア版(1963年製作の映画)
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不穏なイントロと、あの赤いタイトルロゴのインパクト
B.Bのしなやかなヌードシーンに始まり、明転した瞬間、眩しいブロンドが目に入る。甘ったるい声で問う"わたしのくるぶしが好き?"

バルドーのキャットラインから覗く、反抗的な仔猫のような眼差し
ブルーのヘアバンドと柔らかなブロンドが、青いリボンをつけた猫毛のよう

赤、黄、スカイブルー、パステルピンク、ゴダールの色彩がふんだんに塗りたくられていて眼福。
リュミエール兄弟の言葉が刻まれた映画館の、ブルー、イエロー、ネイビー、グレー。

カプリ島の風景が美しく、オデッセイの撮影も相まり、赤いモダンな邸宅がクノッソス宮殿のように見える。
マーメイドに扮したペネロペの、アイスブルーのシャドウがキラキラと水飛沫を跳ね返す。
フリッツ・ラングが木漏れ日の中語る、ユリシーズとペネロペの破局劇
どうして男は気づかないのだろう。

ジョルジュ・ドリリューの音楽の、切なく狂おしいメロディが哀愁を誘う
潮騒のキスシーンはとても官能的でなぜか切ないのに、ラストの逃避行では全くそれを感じない。
不機嫌なカミーユの、夫に対する"軽蔑"
妻に関心を示さず、都合よく可愛がり、セックスをも冷たく拒否する。
あの感情は、既婚者であれば少しわかってしまうと思う。


〜衣装語り〜
ポールとカミーユの愛のアパルトマンの、レトロなバスルームと、モダンなリビング
白い壁、ファーのラグ、ランプ。赤いソファー、青いファブリックチェア
小上がりのベランダがおしゃれ。
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