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軽蔑 60周年4Kレストア版のmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

軽蔑 60周年4Kレストア版(1963年製作の映画)
4.0
ジャン=リュック・ゴダールの長編映画第6作。
アルベルト・モラヴィアの同名小説を原作に、2年前に結婚した妻アンナ・カリーナとの愛に苦悩したゴダールが、映画製作の裏側を交差させながら、自己を投影して愛の不毛を描く初期ゴダールの代表作の1本。
撮影はラウル・クタール
音楽はジョルジュ・ドルリュー。
原題:Le Mépris(1963)
「軽蔑 60周年4Kレストア版」を鑑賞。

作家ポールはフリッツ・ラングが監督する映画「オデュツセイア」の脚本の修正を依頼され、自身と妻カミーユの生活のために依頼を引き受ける。
一方、ポールに脚本の修正を依頼したアメリカのプロデューサー・ジェレミーはカミーユに関心を寄せていた。
なぜか愛を囁きあっていた前日とは全く違う態度や言動を示すカミーユ。
ジェレミーはカミーユを問い詰めるが、核心に迫れない。
夫婦に倦怠感が漂う中、カミーユは撮影場所であるカプリ島にあるジェレミーの別荘に誘われる…。

~登場人物~
・女優、カミーユ・ジャヴァル(ブリジット・バルドー)
・脚本家、ポール・ジャヴァル(ミシェル・ピコリ)
・映画プロデューサー、ジェレミー・プロコシュ(ジャック・パランス)
・その助手フランチェスカ・ヴァニーニ(ジョルジア・モル)
・映画監督フリッツ・ラング(フリッツ・ラング)
・ラングの助監督(ジャン=リュック・ゴダール)
・撮影監督(ラウール・クタール)

「アンドレ・バザンは言った。
映画は私たちの眼差しを私たちの欲望に合致した世界に置き換える」

「神が人間を創ったのではなく、人間が神を創ったのだ」

「映画になると(カメラを見せると)、女はすぐに裸になる」

「夫が決めますから」

「軽蔑するわ」

「僕は劇作家で脚本家じゃない。
金のためは不愉快だ」

「見方が変わったの。許せないの。
理由はあなた。あなたって男じゃないの」

「これを完成させるよ。一旦始めたからには」

60年代ファッションアイコンでありセックスシンボルでもあったブリジット・バルドーが、華麗な衣装と美しい裸体(とお尻)を披露(ベッドに横たわる印象的な冒頭シーン)。予算の半分が バルドーの出演料で占められる大予算映画になった。
終盤の舞台であるカプリ島の絶壁に聳え立つマラパルテ邸。バルドーと海の青、別荘の赤と太陽の黄色の見事なコントラスト。
ジョルジュ・ドルリューによる弦楽の流麗な楽曲"カミーユのテーマ"が何度となく繰り返され、映像とマッチして強い印象を残す。
この作品の素晴らしさは、何と表現してよいのだろう。ぜひ、スクリーンで見てほしい。
(蛇足)奥さんをひとりで先に男のもとに行かせてはなりません。バルドーにしてみれば、ミッシェル・ピコリは、普段のたまわる理想的信条とは裏腹に最終的に金(生活)のために理想を犠牲にし妻をプロデューサーに売る(妻を利用する)男なのだ。
なお、当然だが、死によって愛を取り戻すことはできない。
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