Jun潤

アメリ デジタルリマスター版のJun潤のレビュー・感想・評価

5.0
2023.12.01

見よう見ようどずっと気になっていた作品。
今回デジタルリマスター版が22年ぶりに日本の劇場で公開ということでようやく鑑賞です。

パリの下町、モンマルトルのカフェで働く女性、アメリ。
彼女は幼い頃から友達ができず、ずっと空想の世界に想いを馳せていた。
ずっと続くと思っていた変わらない毎日が一変するきっかけは、ダイアナ妃の交通事故のニュース、ではなくその拍子に落としたガラス玉が見つけた、40年前に忘れられてしまった宝箱の持ち主探し。
持ち主を見つけられたら自分の世界を変えると決めるアメリ。
彼女の存在は、周囲と深く関わったり関わらなかったり、幸せにしたりされたり。

ほうほうなるほどなるほど。
作品の評判的に女性ウケの良いファッションムービーなのかと思っていましたが、フランス映画らしいおしゃれな色合いもありつつ、数々の描写を回収していく爽快さもある、まさに時代を超えて愛される傑作そのものでしたね。

登場人物たちもみな良いキャラクターをしていて、自分の周りにいたらちょっと小憎らしいんだけど、アメリのおかげで憎みきれないというか微笑ましいというか。
ずっとは見ていられないけど定期的に見たくなるようなキャラクター造形をしていたと思います。

また作品として観てみても、アメリの価値観や大規模に撮影したんだろうなという画角など、20年以上前の作品とは思えないほどの完成度でした。
最近ちょっと昔の作品を劇場で観る機会が多くなってきましたが、昔の作品を基準にすると今の作品ってちょっと丁寧すぎるんですかね。
最近の作品にずっと触れてきた身からすると、描写が飛んでいたり場面転換が突然違う方に行ったりと、違うなって感じます。
しかしだからといって今の作品の方が良いっていうわけではないし、それはそれでジェネレーションギャップを感じられる点でもあるのかなとも思います。
それに、そこに嫌悪感を抱かずに済んだのは、今後の作品鑑賞のハードルが低いままだという個人的な指針のようにも感じています。

人生は自分の思い通りにいかないことばかり。
他人の行動の意味や気持ちなんて全然わからないし、失敗することの方が当たり前。
みんなそれを分かっているけど、分かっていても他人と関わって生き続けていくのが人生。
しかし、続いていく失敗の中に突然現れてすぐに過ぎ去ってしまうチャンスを掴むかどうかは、自分次第。
Jun潤

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