KOTAYOSHIDA

アメリ デジタルリマスター版のKOTAYOSHIDAのレビュー・感想・評価

3.4
デジタルリマスター版にて映画館で人生初『アメリ』。色んなメディアでいわゆる"オシャレ映画"として紹介されていたのでてっきりそういうオシャレ~な雰囲気の映画だと思っていたが、全然違った。めちゃくちゃ変な映画だった。何ていうか「変な映画だったな~」と思わず声がでてしまうくらいには変な映画。

主人公のアメリが変な人なんだけどめちゃくちゃクリエイティブなんですよね。発想力(想像力)も凄いが、行動力もある。行動力があり過ぎて考えたことグイグイ実現できてしまう。物語中盤のニノを広場?公園?みたいなところに呼び出すシークエンス。アルバムを返すためだけなのに返す方法が手間~~~~~~。わざわざ地面に矢印を書いて(器物破損では)ニノをチャリバイクから遠ざけた上でアルバムを返す。しかも望遠鏡を覗かせる仕掛けまで作って、自分がアルバムを返すところは見せるという徹底っぷり。あと他にも色々常人はやらんやろみたいな事をめちゃくちゃやらかす。めちゃくちゃ手の込んだやり方でニノを自分の働くカフェ?に呼び出すんだけど呼び出しといてそれかい、みたいな。

あと日本の配給がこの映画を買い付ける時に脚本しか無かった状態での買い付けだったらしく、それを読んだ担当はホラー映画だと思って買い付けたが蓋を開けてみたらこんな映画だったみたいな逸話があるが、個人的には普通に結構ホラーだなと感じるシーンも結構あった。SEとか普通にホラーのやつでしょこれ。

そういう「実はシンプルなガール・ミーツ・ボーイ」の話をアメリの突飛なクリエイティヴな発想と行動で延々遠回りしながら見せてしまうという凄い変な映画でしたね。多用されるズームインとか急な横パンという変な撮影の多用、画に対してイカつ過ぎるSE、あとは変な演出の数々(アメリが溶けるやつとか)、選び抜かれたインテリアの数々、色の使い方も凄かった。あと思った以上セックスのシーンがめちゃくちゃ多い。とにかく監督のやりたいことが全部捻じ込まれてた印象。ただ変だったんだけど、作り込みが凄まじいので何度か見返したくなるような強度がある映画だとも感じた。

あと、こんだけ濃い、ひたすら濃い映画がオシャレでイケてるものとしてポップカルチャーの最前線で消費されていた2000年代初期の東京というのはやっぱ凄いカルチャー発信地だったんだなぁといったようなこと感じましたね。あと逆に2023年の今の時代のオシャレが何か分からなくなってるので日々老いを感じている。
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