mitakosama

華岡青洲の妻のmitakosamaのレビュー・感想・評価

華岡青洲の妻(1967年製作の映画)
3.7
スカパーにて。朝からなかなか重厚なドラマでした。
江戸時代の医師、華岡青洲の妻と母の嫁姑問題を描いた物語。原作は“恍惚の人”の有吉佐和子だけあり重厚な人間ドラマが味わえました。

冒頭に伊藤雄之助が出てきて、え?この人が華岡青洲役なの?雷蔵は?と思ったら、父親の直道役だった(笑)そりゃそうか。

姑に高峰秀子。妻の加恵に若尾文子。ここはやはり高峰秀子の見せ場ですな。世間的には優しいお姑さんに見えるが、実は嫁に対するライバル心がパンパンに張りつめているのを実に巧く演じている。こわこわ。
でも高峰秀子が汚れ役を演じるから、嫁の存在が活きる。氷の表情に垣間みる嫉妬心が絶妙!

麻酔薬の調合で猫を何匹も犠牲にし、いよいよ人体実験。
嫁と姑が我先にと実験体を申し出る。こわこわ。

この後の成り行きも史実に則っているらしい。
姑が先立ち、残った嫁に、今まであまり出番の無かった小姑が出てくる。
嫁に行かなかった小姑だが、嫁姑の関係を味わなくて良かった云々と言う。このセリフも最高!
何気に新藤兼人の脚本も滅茶苦茶良いぞ。

ナレーターに杉村春子など、作品に対する熱量が伺える秀作!
mitakosama

mitakosama