はぐれ

日本の熱い日々 謀殺・下山事件のはぐれのレビュー・感想・評価

3.8
『海と毒薬』の熊井啓監督作。そして脚本は黒澤組で知られる『野良犬』『兵隊やくざ』の菊島隆三という意外な組み合わせ。

終戦から4年後に起こった国鉄総裁の轢断死体が発見された下山事件を扱ったドキュメンタリータッチの作品で当時の映像もふんだんに使われ臨場感たっぷりの社会派の作品に仕上がっている。

ハブのようなギョロ目で真実へ食らいついたら離さない事件解決への執念を見せつける新聞記者役の仲代達矢が圧巻。自らの説が立証されるシーンで見せる「あ、記事を書いたらいけないんだった」と自笑しながら喜びを噛みしめるシーンがこの映画のメインディッシュ。
また脅迫文が届くシーンで主人公を殺そうとした諜報員達の顔がフラッシュバックされるモンタージュはシンプルな演出なんだけど戦後の日本の闇を的確に表していてめちゃくちゃ怖い。さすが社会派の雄、熊井啓である。

当時はまだ駆け出しだった役所広司が師匠である仲代達矢と共演しているシーンが拝めるのも嬉しい。荒削りだけど後に名優となる片鱗を見せつけている。
また、後半は黒澤明『影武者』の信長役で一躍ブレイクした隆大介を売り出す為に彼のアイドルイメージビデオみたいな仕上がりになっているのもなんとも可笑しくて香ばしい(笑)いや、シリアスなシーンで女優ライトを当てないでよ!ww
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