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サンクスギビングのコマミーのレビュー・感想・評価

サンクスギビング(2023年製作の映画)
3.4
【感謝祭の惨劇】




"感謝祭"…1621年にマサチューセッツ州で行われた豊作祭が起源。毎年11月の第4木曜日に家族や友人などの親しい人と集まり、日々の生活に感謝する日。

七面鳥を食べ、サンクスギビングデーと共に賑わう"ブラックフライデー"も共に、アメリカの人々が祝祭ムードに溢れる中、舞台である"プリマス"で実在した指導者:"ジョン・カーヴァー"の面をつけた"連続殺人鬼の凶行"が、プリマスの人々を恐怖の渦に陥れる。


今から16年前。"クエンティン・タランティーノとロバート・ロドリゲス"が総括を務めた長編2作と、本作の監督"イーライ・ロス"を含めた5人の映画監督達が総括した"フェイク予告編"5本を含めた特集上映作品群「グラインドハウス」が公開される。70年代から80年代にかけて流行った映画館の上映スタイルを再現するというコンセプトで作られた作品たちだ。
その中でも、フェイク予告編の"長編化"も後にされるようになっており、これまでロドリゲス監督の「マチェーテ」シリーズやジェイソン・アイズナー監督の「ホーボー・ウィズ・ショットガン」なんかが公開された。

そしてその第四弾となるのが、今回のイーライ・ロスの「サンクスギビング」だ。残念ながら、当時のフェイク予告編でのキャストの集結はならなかったのだが、16年経った今、ついに長編化が実現する事が可能になったのだ。

"惨劇の発端"となったのが「ワッフルメーカー」だったとは驚きだった。ブラックフライデーに地元の複合スーパーで行われたセールでの"死者が出るほどの暴動事件"。殺した客たちは罪に問われず、地元に根付く闇とかしてしまった。その後に現れたのが、今回のお面をつけた殺人鬼である。スーパーのカメラに映っていた、あの場にいた客たちを次々と殺していくのが、最初はスカッとしたのだが、だんだん殺人鬼の標的が全然笑えない方向に行くにつれて、悲しくなってしまった。「あのスーパーの惨劇がなければ、この殺人鬼も出ることはなかったのかな」と頭をよぎってしまい、殺人鬼の正体が明らかになった時も、そいつを責めたい気持ちにならなかった。

イーライ・ロスの監督作としては久々の流血映画だなと感じたし、殺人鬼のビジュアルも中々印象に残ったものになっていた。
ただ、やはり私は「マチェーテ」シリーズの続編「マチェーテ・キルズ」を見て思ったのだが、もしこれに続編が作られるとしたら失速してしまうのではないかという本作に対する一発屋感も頭をよぎってしまい、味がなくなった後のガムみたいな悲壮感にかられた。ロス監督にその気があるのかは分からないが、私の頭の中ではそれがよぎってしまった。
ただ、トロマ映画っぽさも感じられて楽しい映画体験だった。人間がめっちゃ"脆く"感じるし、「血ってそんなにサラッサラなんだっけ?」と突っ込みたくなる瞬間を感じるバカホラー映画の象徴みたいな雰囲気を味わえる事ができた。

まさにR指定ポップコーンムービーだなと感じたし、イーライ・ロスがまたこの路線に戻ったってだけで少し興奮してしまった作品だった。

これを年末に公開しちゃう日本のソニーは、どうゆう頭をしているのか知りたくなりました。
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