IDEAコメント低浮上

サンクスギビングのIDEAコメント低浮上のレビュー・感想・評価

サンクスギビング(2023年製作の映画)
3.4
『嗚呼、げに美しき殺人よ』

美しい殺人…などと言うと頭がおかしい奴と思われるだろうが、これが映画の面白いところ。映画で作られた世界を堪能するという意味ではファンタジーだろうがヒューマンドラマだろうがそしてグログロのホラーだろうが関係なくそれらに没入し体感できる。さまざまな非日常を体験できることが映画の素晴らしさのひとつである。

さて今作、タランティーノが小躍りしそうな出来栄えといえばおよそ想像がつくだろうか。バリエーション豊かな死に方の百貨店には感心しきりで、パンフレットの監督インタビューでも死に方を表現するのに細部にまで苦心した経緯が綴られており、頭がおかしくて大変よろしい。

ただ、中盤までは超盛り上がるのだが終盤の失速感が少し残念。『ホステル』くらいのハラハラ感を期待したがそこだけが惜しい。
続編があるらしいがどう展開するのか見ものである。


【2023年 Myベスト・テン】
※2023年に日本の劇場で公開された、
もしくは上映中だった新作が対象。

(1)PERFECT DAYS
(2)生きる LIVING
(3)ゴジラ−1.0
(4)グリーン・ナイト
(5)イコライザー THE FINAL
(6)ジョン・ウィック コンセクエンス
(7)ナポレオン
(8)裸足になって
(9)ヴァチカンのエクソシスト
(10)ザ・クリエイター 創造者

(監督賞)
山崎貴
『ゴジラ−1.0』

シン・ゴジラの後かつゴジラ70周年記念作品の重責を見事に果たした手腕に。

(脚本賞)
カズオ・イシグロ
『生きる LIVING』

名作を見事な英国調にリメイクしたその繊細な感性に。

(主演女優賞)
リナ・クードリ
『裸足になって』

逆境にも決して挫けない強さを体現した若き才能に。

(主演男優賞)
役所広司
『PERFECT DAYS』

台詞などいらない、表情ひとつ、仕草ひとつで語る稀代の名優に。

(助演女優賞)
エイミー・ルー・ウッド
『生きる LIVING』

ビル・ナイ演じる主人公の心を支えた天真爛漫な好演に。

(助演男優賞)
ランス・レディック
『ジョン・ウィック コンセクエンス』

シリーズに欠かせない素晴らしいキャラクターを演じたランス・レディックに哀悼の意と敬意を込めて。

(パンフレットデザイン賞)
『ザ・ホエール』

作品を象徴するような油絵風の上質なデザインに。

(旧作賞)
『ブラック・レイン』
午前十時の映画祭13にて

高倉健&松田優作の勇姿に。

(特別企画賞)
『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』
日本公開30周年記念リバイバル上映

アニメ版が大ヒットした年が奇しくも30周年という奇跡に。