歯形以外ぐちゃぐちゃな死骸の描写であったり、
白っちゃけた小さな虫がたかり蠢いている描写であったり、
主人公の片方の眼球が内出血で赤くなっている描写であったり、
これでもかと精緻な映像でリアリティを追求すると、
ある種芸術の域に達するとともに、
どこか嘘くささが出てしまうものなのだなぁと感じてしまった作品。
CG技術が未熟な時代ということもあるのですが、
こだわりを持って追い込んだ映像の中で、
肝心のエイリアンの映像が浮いてしまっていて残念な感じです。
エイリアンの動きも軽快すぎて、質感の割に重量感がないので、
文字通り浮いた感じなのですよね。
凶悪犯罪者の島流し用惑星に宇宙船が不時着するという設定は、
従来作と違いを出すために工夫したところだと思いますが、
この特殊な設定が結果的には裏目に出ているような気がします。
医者とリーダー以外はその他大勢として埋没してしまって、
彼らがエイリアンに食われたとしても、
犯罪者なら仕方ないかと、やはり心のどこかで思ってしまいますし。
近未来SFという特殊性を持ち込んだ段階で、
いかに視聴者が共感できるような一般性を得られるかが勘所だとおもいますが、
さらに特殊性を持ち込んでしまうと、なかなか難しいのかなと。
エイリアンとは関係なしに別作品ができてしまいそうな設定だけに、
2つの作品を無駄にしたようなもったいない感があります。
作者のこだわりが、作品の推進力となっていない空回り感があります。
従来作ではまったく気付かなかったのですが、
悪徳会社は「ヴィンランド・ユタニ」という日系企業のようです。
施設や設備に漢字のレタリングがされていて不思議な雰囲気を醸していました。
特に溶鉱炉に書かれた「超高温注意」は格好良かったです。