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エイリアン3の教授のレビュー・感想・評価

エイリアン3(1992年製作の映画)
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「エイリアン」シリーズは4作目までは監督を務めた各人の作家性やトーンが各々で強烈に発揮される印象。
本作は、シリーズの位置付けとしてよりも監督、デヴィッド・フィンチャーのデビュー作としての意味が大きい。

公開当時は色々と批判もあったらしいが、個人的には当時から好きな作品。
エンターテイメント色を強く打ち出した前作の世界を見事なまでに瞬殺するのは笑ってしまう。
そして「囚人惑星」というマッチョな男性だらけの世界に放り出されるリプリー(シガニー・ウィーバー)という舞台設定。

元々エイリアン自体が性的モチーフな暴力の象徴であるが故に、舞台設定だけで男性性のむさ苦しさや、欲望と抑圧と宗教による連帯など見た目のマッチョさに対して、精神的な脆さが浮かび上がっている。
それによってよりリプリーの屹立する女性性は際立って描かれている。

「愛情」とは別の形で結びついたリプリーとクレメンス(チャールズ・ダンス)の「セックス」を通したすれ違いや、しかしそこから信頼を生みかけた刹那にクレメンスが惨殺される、などサディスティックな脚本をドライに演出する辺りが既に確立したフィンチャーの手腕。

そして信頼に足らない大企業に対して、何だかんだと団結して胸が熱くなるエイリアン掃討作戦に従事する囚人たちの戦い。
作劇の急展開をさりげなく描写するなど、新人監督として充分な仕事をしていることに改めて感嘆した。
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