雷電五郎

ザ・カンファレンスの雷電五郎のレビュー・感想・評価

ザ・カンファレンス(2023年製作の映画)
3.0
スウェーデン発ややコミカルでキャラクター的な人物達が湖畔のキャンプ場で殺人鬼に追われるホラーです。

地方自治体の雑な税金管理と空疎な商業施設の呼び込みによる地元のミニマムな商業をないがしろにして罪悪感もない目先の利、それらを批判的に描きつつも残虐な殺人シーンはダイレクトに映さず、あまり衝撃的になりすぎない作りがスプラッタな描写を苦手とする視聴者へ配慮されているように感じます。

コンパクトにまとまった作品ではありましたが、犯人の正体や理由についてのフォーカスが足りない部分があります。それが意図的なのかどうかは分かりませんが、意図的であるならば自治体職員達の自分勝手さに対する必然の因果応報を体現した存在として犯人が人間的に描かれなかったのかもしれません。

作中ヘイトを一身に集めるヨナスがリーナの手により死ぬのが一番物足りなく感じましたが、逆にこの人数が生き残るのも珍しい気がして最後はホッとしました。
ジップラインでアミールがあっさり死んでしまったのが一番残念でしたね…彼には生き残ってほしかった。

ホラースリラーという程虐殺シーンを強調している訳でもなく、心理的なストレスも特に誇張はされておらず、登場人物達の分かりやすい個性の分布を見るに地方自治体による無闇な自然破壊・産業破壊に対する皮肉が最も主張したい点なのではないかと感じました。
日本もこれに関しては笑い事ではないですね。

ラスト、エヴァとお爺ちゃんのすったもんだバトルは思わず「が、頑張れ!!」と応援したくなる雰囲気でしたね。

終始ショッピングモールが是か否かの話を中心に展開されており、ホラーとして観ると物足りないのですが地方自治体による無駄な商業施設の招致が何をもたらすのか?という問いにフォーカスするとまた少し違った見方が出てくるのではないかと思いました。

登場人物達の個性がかなりハッキリ分かれていて個人的には好きな部分も多かったです。
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