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Hereのharukaのレビュー・感想・評価

Here(2023年製作の映画)
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この映画のテンポと美しさへチューニングを合わせて浸るには渋谷という街は適さない
軽井沢とかでみたい


セリフで説明され過ぎない
ランドスケープ
イメージの連続
観察、見守るみたいな眼差し


写真のように固定されたショットが、一定のテンポのもとで展開されていく。
ショットごとは綺麗な構図と光の画。説明的ではないそれぞれのカットが連続することで、徐々にイメージの輪郭が出てくる。

しばらくずっと、個々の生活の一部を追っていく時間だった。決して内面までぐっと入り込むような撮り方ではなく、一定の距離感で(カメラと人の手前には何かしらの物があった)観察者の視点で、追いかけられていた。

若干、不安定そうな男の人。仕事の期間が終わり、休みに入ること。この国をオリジンとしていないこと。など、断片的にわかってくる。

女の人はコケのを研究している学者で、中華系。おそらくここの出生ではない。

2人の生活が、ただ、交わらず並行した世界として交互に描かれる


関係性が進んでいくことが主題だと思い込んでいたから、あまりにも個人の世界のパートの時間が長くて不思議だった。
その関係性がどうなっていくかを見落とさないよう、意識をしながら映画を観てしまったから、別の描かれていたことを見落としたきがする。もう一度見たい。 

例えば、女の人と出会う前の男の人が、どんな生活でどんなコミュニティにいて誰とどんな話をしているのか。恋愛以前に、彼がどんな人なのか。

常に男女が関係を構築しそうな映画に見える時、その間にある恋愛の兆しを無意識に探し出そうとする。目の前の物語の進みとは関係なく、恋愛関係の発展を想起して物語の先回りをする見方が嫌だ。


最後のショット、靴紐を結んだあと手を差し伸べて立つショット
画面に映らないことで語る、余白に託し、想像力を信じる印象的なショットだった。
カメラの画角が狭いから、映る範囲も狭いのにその外側で世界の世界で見えないけど魅せている


雨 
きっかけには雨がふる。恵みの雨。

美学 
エンドロールまで美学が施されている


じっとよく観察しないとわからないコケの存在や神秘性を主人公たちが感受しているように、私たちも目の前のイメージショットや音をじっくりと見ることで、女と男それぞれについてや、徐々に変わる関係性はわかる。
言葉に頼らず、瞬発的にではなく、よく見ることで理解をする。そのペースが映画を見進める中で徐々に自分の中にできてくる。

関係性が変わり始める、その最初。
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