映画には大抵、感情の起伏がある。
喜び、怒り、悲しみ、楽しみ。
『here』ではそれが乏しい。
僕は今日、すごく喜んだこともなかったし、何かに怒りを覚えたこともなかったし、悲しみは幸いなかったし、ちょっと楽しいことはあったけど、その程度。
そんな今日みたいな日が淡々と続いて、たまぁに感情が大きく振れる。
映画は大抵、そういう印象的な日にカメラを向けるけれど、『here』は今日みたいな日にカメラを向けていた。
それなのに飽きることはなかった。
「そばにある」もの,ヒトへの視線が、冷静に,淡々とビビットに映されていて印象強かった。
フィルムの温もりやフレーミング,ライティング, そしてアンビエントでフラットなbgmが秀逸だったということも本作の重要なピースだった。
