すべてのショットがうつくしく、すべてのサウンドがここちよい。
ほんとうに、特に画角や構図のすばらしさについては、どのシーンを切り取ったとしても、きっと、語り尽くせないほどには。
の、なかでも最も印象的だったのは、森の中で苔むした幹を軸にふたりが斜めの位置を取る構図、それと、その後の靴紐を結び直すシーンにおけるふたりの画面配置とその展開。
全体を通して、それぞれのカットにおける視点自体はそのほとんどが動くことなく、それらの静かなカットが淡々と転換していくシーン構成となっていて。
そうして、なにごともなく、時は流れていく、それは当然、あちらのはなしだが、それは同時に、こちらのはなしでも、あったようにおもう。
おわりはあっというまで、ぷつりと暗転。その後のことに、どうしようもなく思いを馳せる。
正直なところを話すと、大した前情報ないままに本作を観ることとなったのだが、どうやら移民の話ということで、まあそれ以外についても、だけれど、主に自分が日本人であるがゆえに、やはり完全な理解にはいくつかのハードルがあるなと思った。言語も、文化も、環境も、そのほかいろいろ。
外国の作品を観るときはいつも、これがくやしい。
それがすべてとも、思わないけれど、ただ勉強あるのみ、かな。
