むぎすけどん

続・赤毛のアン/アンの青春のむぎすけどんのレビュー・感想・評価

3.6
この作品は「アンの青春」、「アンの愛情」、「アンの幸福」の3作品をベースに構成されているが、
邦題を「アンの幸福」にしてもいいのではないかと思うほど、アンシリーズ4作目を中心にした物語になっている。(ただし、原作で主要人物だったレベッカ•デューのいない)
アンの恋人役は、エリザベスの父親と、ロイガードナー(金持ちって部分だけ)を足して割った男だし、その家族はポーリーンの母であったり、エリザベスの祖母と侍女であったり、駆け落ちの話が混ざってたりと、上記に挙げた三作品からのエピソードが混ざりあい、一つの設定に置き換わっている。
基本ストーリーは「アンの幸福」からの話で、サマーサイド校長時代のプリングル一族との対立を軸とした話になっている。(ただし、アンは校長ではなく一介の教師、キャサリンは副校長ではなく校長、原作では登場しない筈のステイシー先生がなぜか理事として再登場している)

また、「アンの青春」でのハリソンさんの役割が、ギルバートになっていたり(小説のヒントを与える)、レイチェルリンド夫人になっていたり(牛を間違えて売り飛ばす話)するので展開も変わってきて興味深い。

登場人物や出来事が乱立する原作に対し、関係やストーリーがよりコンパクトになっている。
原作3作から、それぞれ違った箇所に使われていた話をたくさん詰め合わせて、一つの物語に再構成して、まとめあげた秀作といえるだろう。

個人的には、高畑アニメのような、原作をじっくり忠実に描くスタイルの方が遥かに素晴らしいと思うが、
あまり、映像化されない赤毛のアンの続編に挑んだという意味で評価したい。

ちなみにこの後、海外ドラマ「アボンリーへの道」(原作に出てきた双子のデイビーとドーラや、ハリソンさんが登場)につながり、その後の「アンの結婚」、「新たな始まり」につながるけど、原作からの逸脱は著しくなり、作品間においてさえ、時系列的な矛盾が発生するため、サリヴァン監督が考えたパラレルワールド的な二次創作同人作品群として割り切って考えた方が良さそうだ。
むぎすけどん

むぎすけどん