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恋恋風塵(れんれんふうじん)のabokadoのレビュー・感想・評価

4.2
友人が壮絶に好き!と言っていたので気になって見てきました。(私が行く時ついて来た友人2回目)

ホン(女の子)の抱えるお米を何も言わず黙って担ぐワン(男の子)。ワンの持っている学生カバンをさも当然のように持つホン、もうここで掴まれました。冒頭きょうだいなのか?と思わせるくらいナチュラルすぎる2人。

劇中音楽もあまりなく台詞も少なくとても静かな雰囲気、それは言葉を交わさずとも常に一緒の2人を表すかの様。(寝ちゃう人は寝ちゃうだろう)2人は地元を離れて台北で働き出す。先にワンが次にホンが。
台北で働き出してからもやっぱり常に一緒の2人。2人の想いは一緒だ、周りの人たちもそれはわかっている。言葉も無し態度もなしお互いにいつもと変わらない。(ヤキモキすること間違いなし。)そしてホンはワンに手作りの洋服をプレゼントする。ちょっと大きいよ、大きいかななんて会話をかわしながら。(ここめっちゃ好きでしたこの映画の中でBestシーン)
2人の想いが初めて通じ合ったように感じた。
そんな中ワンに兵役通知がくる、やっと2人の関係が動き出したかと思ったらお国の決まりごとが立ちはだかる。観ているこっちも思わず溜息が出る。

2年、、2年はどうだろう長いのかな短いのかな。文通でお互いの近況報告なんかをしてそれを励みにワンは兵役での日々を頑張るんだ。でも突如としてホンからの手紙が届かなくなり自分の送る手紙も宛先不明で戻ってくる。

そんな時弟からの手紙が届く、ワンはそれを読んで声をあげて号泣、自分もなんか辛すぎて黙って座ってられなくてその場に立ちそうになった。

何も言わなくても成り立つ関係は素敵だが言わなくてはいけない時は言わないときっと後悔する。人の気持ちは永遠なんて言えなくていつ変わるかわからない。
日々の経過をいちいち字幕で表したりせず置かれている状況の変化、ホンの髪の長さ、煙草を吸ったり酒を飲んだりで月日が経過し2人が徐々に大人になっていく様が自然とわかる。

兵役を終えて地元に戻って来たワンに祖父が『台風でサツマイモが不作だ』と当たり障りの無い言葉を掛ける、そして一言人の縁についてサラっと。祖父なりの優しさが滲み出ていた。どんなに心が荒れ狂おうとも地元の景色は相変わらず。また日々ははじまるんだな。
これぞ沁みる映画、とても辛いけどとてもリアルな。

帰りは友人と2年待てるか?というテーマについて話し合って帰った。友人は『今なら待てる』、それに対して自分は『今の年齢だからこそ待てなくない?』と。意見真っ二つですわ。結果【約束】があれば待てるね、というのに落ち着いた。

初ホウシャオシェン、ヒュートラ映画祭にて
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