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Mohawk(原題)のSY3KRのレビュー・感想・評価

Mohawk(原題)(2017年製作の映画)
2.0
前作『喰らう家』も好評を博したB級ホラー・マイスターのテッド・ゲオガーガンが、インディアンの歴史をバックに綴るサスペンスドラマ。今のところ日本での公開・配信はされておらず。

1814年、米英戦争のただなか、先住民であるオークの居住地にもアメリカ軍が迫ろうとしていた。オークとその恋人であるカルヴィン、そしてイギリス兵のジョシュアは先制攻撃を提唱するが、オークの母親はこれを否定し口論となる。業を煮やしたカルヴィンは単独でアメリカ軍の野営地に火を放つが、3人は復讐に燃える兵士たちから追跡されることになり…というのが大まかなあらすじ。

うーん…ちょっとこれは好意的な評価の難しい映画だ。作り手の野心や心意気は非常によく伝わってくる。ネイティブ・アメリカンとイギリス兵が恋愛関係にあり、部族もこれを当たり前のように受け入れている点は実に現代的な描き方で新鮮だし、英米戦争の時期を主軸に据えたのも挑戦的な試みだったと思う。

これまでの歴史を踏まえれば、ネイティブ・アメリカンが本国に対して復讐心を募らせるのは当然だ。しかし作中で最初に口火を切ったのは先住民のカルヴィンで、報復は当然の結果と言える。本作は両者の対立を描きながらも、憎しみあうことの虚無感を絶えず投げかけ、戦争の悲劇性を主張しようとする。

それは分かるのだが、あまりにも作りがチープで主題の重さを扱いきれていない。衣装やメイク1つとってもコスプレ大会のような軽薄さだし、展開を間延びさせようとやたら不自然に事を運びすぎている。明らかにトドメを刺されてもおかしくない場面で平然と逃げ仰せたかと思えば、絶対に死んでいるダメージを負っても平然と起き上がるので、その度に白けてしまうのだ。

ネイティブ・アメリカンの地の利を生かした見栄えのする戦闘シーンもなく、単調な追いかけっこになっているのもどうかと思う。一応フレッシュ判定になっているが、高評価を下した批評家は43人しかおらず、一部の層が熱狂的に反応しただけではないだろうか。

⚫︎トマトメーター
・批評家支持率:84%
・観客支持率 :31%
「本作は効果的な時代劇ホラーを提供すると共に、社会政治的な文脈を巧みに織り込み、ジャンルや予算の制約を超えた作品に仕上げている。」
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