CHICORITA主任

リンダはチキンがたべたい!のCHICORITA主任のレビュー・感想・評価

4.0
舞台はフランスのとある郊外。主人公リンダと母ポレットのチキンをめぐる大騒動と亡き父の記憶を描くアニメーション映画作品。

大胆に省略された描線とビビッドな単色で彩られたキャラクターによるアートアニメ的なルックで繰り広げられるドタバタコメディで、その一見ミスマッチな組み合わせが生む独特の美しさと楽しさが見事な一本です。

先にセリフを録音し、その音声から得られるイマジネーションをアニメーターたちの自由な裁量で描いたというキャラクターの演技は、作画的には「安定していない」が、デザインやディティールの振れ幅の広さが、カオティックなストーリー展開と合わさり不思議な楽しさを醸し出します。

そしてやはり印象的なのは色づかいで、日本のアニメではまずありえない単色で表現されるキャラクターたち。カラフルな単色キャラたちが一堂に会し、躍動感あふれるドタバタアクションを繰り広げるさまは、キャンバスの上を絵の具の塊が動き回っているような今までに観たことのない映像のワンダーを与えてくれます。

日本アニメとはひとあじ違う、海外アートアニメしか得られない栄養をたっぷり摂取できる、どこかヘンテコでとびきり素敵な映画です。
コナンもいいけどリンダもね。ぜひ劇場で鑑賞ください。
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