イチロヲ

シベリア超特急3のイチロヲのレビュー・感想・評価

シベリア超特急3(2002年製作の映画)
3.5
豪華客船で発生した殺人事件の真相を探るべく、61年前に起こったシベリア鉄道での出来事を回想していく。現代パートと過去パートが交錯するスタイルを取っている、サスペンス映画。

水野晴郎の好きな映画をサンプリング的に取り入れている作品。冒頭の長回しは素直にスゴイと思わせられるが、監督自身の姿が映り込むというトラブル付き(わざと映り込んでいる説あり)。本人が笑ってネタにしてしまうところが清々しい。

脇役では、日本語台詞を一所懸命に思い出しながら喋っていく、外国人俳優グレゴリー・ペカーに興味が注がれる。後に「ゴジラ」(ミレニアムシリーズ)で小美人を演じることになる、大塚ちひろの可憐さにも目を奪われる。

前作に比べると、シナリオの完成度が異常なほど高くなっており、「戦争の悲惨さ」が切実に伝わってくる。もっとも監督を支えるスタッフの尽力によるものだが、「普通に面白いから、面白くない」という倒錯的な感想が出てしまうのが、シベ超らしいところ。
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