東京国際映画祭にてジャパンプレミアを鑑賞。
サラ・ヴァロンによるグラフィックノベルを原作とし、全編セリフなしで描かれる、普遍的な出会いと別れの物語。
主人公の犬(dog)とロボットの関係は、友人のようでもあり恋人のようでもあり、セリフがないことで見る人それぞれの解釈が可能な余白を持たせてあるのが素晴らしい。
手書きの2Dアニメーションで描かれるキャラクター表現もどこか生々しくも可愛らしく、ダンスシーンなども相まって楽しさ満点でした。
音楽演出も素晴らしく、アースウインドアンドファイヤーの『セプテンバー』が繰り返し流れ、全体のテーマ曲として映画を彩ります。
また監督のコメントによれば、第三の主役はニューヨークという街そのもので、ここは原作から独自のアレンジを加えた部分だそうです。監督自身のニューヨークでの生活の思い出がたっぷり盛り込まれており、原作付き作品ながら非常にパーソナルな映画となっています。
「最も個人的な物語が、最も普遍的である」というのは、たしか是枝裕和監督の言葉だったと記憶していますが、またそれを体現する作品に出会えたようです。
楽しく彩り豊かで、しかし切なさや悲しさもあり、最後には泣き笑いで巨大な感動をもたらしてくれる、今年ベスト級の傑作でした。本当に今年の海外アニメはレベルが高すぎる。
全国公開は来年になるようですが、ぜひ多くの方に観てもらいたい作品です。公開の暁にはぜひ劇場へ。