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雪豹のsayayumeのレビュー・感想・評価

雪豹(2023年製作の映画)
3.1
東京国際映画祭にて

チベット高原の、圧倒的に自然がメジャー人間はマイナーな地で牧畜を営む家族のもとに街からTVクルーが訪れる。家畜の羊を9頭も襲って捕えられた雪豹をカメラに収めるためだ。予定調和に始まる撮影は、雪豹の扱いに揺れる人々を追うことに。
厳しい環境で大切な羊を襲われては堪らない。いや雪豹は貴重な動物である。
いや、あの雪豹とは確かに心合い通じているのだ。
害獣か、珍重すべき動物か、神がもたらした存在か。どれも一理ある。人間の暮らしもある。
羊飼いの家族から僧侶になった若者と雪豹との交流は神仙の趣、片や日々の糧を見つめる者の憤懣。

雪豹は人のあれやこれやなど関しない。昔からそこで生きているに過ぎない。互いの尊厳を認めながらも共生することはないのだろう。
監督は今作が遺作となった。映画だからこそ伝わるものがある。またチベット映画に出会いたい。
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