デニロ

4日間 FOUR DAYS, TOKIOのデニロのレビュー・感想・評価

4日間 FOUR DAYS, TOKIO(2023年製作の映画)
2.5
彼女を知ったのは「六番目の小夜子」という舞台だった。その舞台を観に行く道すがら、何故にそのチケットを購入したのか分からない、ああ、行くの面倒くさいなと思っていたものだった。小さな劇場に着くとパンフレットの売り場にうらぶれた男子たちが並んでいる。へ?この劇場のパンフ売り場に人が並ぶなんて、と思いながらポスターを見るとキャストの一番上に載っているのは乃木坂46の女子だった。成程。

幕が開く。とある高校の薄暗い放課後の演劇部の部室。そこに佇んでいたのが彼女だった。後方の端の席だったけれど、え?と思う。その薄暗さの中でも彼女の若さと熱情と美しさは感じられた。そして低く抑えのきいた声色がくっきりと浮かび上がる。部員たちが集まり徐々に舞台が明るくなっていくとそこはもう彼女の独壇場。終演後彼女の名前を確認する。尾崎真花。このような出会いを奇跡というのでしょうか。

パートカラーの意味も分からないし、主演二人はほとんどマスクをしているし、マスクを外してもロングショットで同じ場所を歩かせている。時折フルショットにするのだけど後ろ姿だったり。アップはほんの数カットのみ。おいおいおふざけでないよ。大分前に観た橋本愛の『シェル・コレクター』を彷彿とさせる(褒めてない)。

架空の国二ホンの話。婚約者を探しに“島”からTOKIOにやって来た尾崎真花。TOKIOで何もかもうまくいかずにいる青年が彼女を見初めストーカーの如く付き歩く。ドストエフスキーの「白夜」に着想を得たということなのですが、ふたりの関係はその「白夜」のままで、最後は婚約者が登場してあっさりとはなればなれに。でも、婚約者不在の尾崎真花に誘われるままに彼女のカラダを幾度も堪能していたのだから、とりあえず、所期の目的は達成したんだろうからいいじゃないの。

海の向こうの戦争とかテロの定義とか1968年のベトナム反戦、パリ五月革命、全共闘運動とかの言葉を散りばめているけれど何が言いたいのか分からない。脚本監督の遅れて来た青年としての思いの吐露なのだろうか。

“島”の女尾崎真花は言う。島の人間は本土から土人と呼ばれていた。その台詞で思い出したことがある。大阪にいた頃、ラジオで芸人が土人発言をしていて一緒にいた局のアナウンサーが先程不適切は発言がありました、お詫びいたします、というと、その芸人は、僕は謝りませんよ、だって彼らは土人やないですか。
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