トゥーン

インファナル・アフェアIII 終極無間 4Kのトゥーンのネタバレレビュー・内容・結末

4.4

このレビューはネタバレを含みます

この世を苦しみと考える仏教において、生きることが何よりの不幸である。だから、仏道修行により解脱を試みる。ヤンもヨンも額に一つの銃痕を空けられる。仏の白毫のように。
一方、ラウは自死を試みてもなお、生を受ける。誰もがヤンのように解脱したいと願う中、解脱出来る者と出来ない者は何なのか。善人でありたいと願う心があっても、他人を蹴落として自分の保身を案ずる者に無間地獄から逃れることは出来ない。呪うならば、恋心で黒社会に足を踏み入れた愚かな行いのみである。
運命は人を変えるが、人は運命を変えられない。でも、ヤンもヨンも何かを変えた。
この映画の終着点として、無間地獄のテーマ性をより色濃くはっきりと打ち出したが、ラウの妄想ということでやや雑な部分を誤魔化しているようにも思えるが、ヤンの笑顔を見られるのならば、それでいい。生きていられることが幸せなのか。最も不幸なのは、自らの心が貧しいせいで、死に際に生に満足出来ないことだ。
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