氷雨水葵

インファナル・アフェアIII 終極無間 4Kの氷雨水葵のレビュー・感想・評価

5.0
2023年110本目

泣いた

◆あらすじ
潜入捜査官ヤン(トニー・レオン)を殉職させ、サムと潜入マフィアたちを始末し、警官として生きる道を選んだラウ(アンディ・ラウ)。

ヤンの死後、内務調査課に戻ったラウは善人となるべく邁進する。

しかし、保安部のエリート警官ヨン(レオン・ライ)の出現によって、ラウは運命を狂わせていく―――。

◆感想
上映最終日に観てきました。なんとか3作品すべて観れてよかった!

さて、1作目の次に好きな本作。何度も観てきて「今更泣くわけ…」と思っていたのですが、案の定終盤で大泣き。ヨンとラウが対峙し、警察学校やシェンたちとの約束シーンが流れるところはもう無理でした(泣)それぞれの道を行くラウとヤン、そしてヨン。この3作目だからこそ余計にあのシーンが刺さるぅぅ。しかもラストは、お店でラウとヤンが出会うシーンにつながっており、いろんなものがこみ上げてきます。最高のラストでした!

ストーリーとしては、ヤンの殉職後、警官として生きる道を選んだラウを中心に描かれています。そこにレオン・ライ演じる保安部のヨンと本土の密売人シェン(チェン・ダオミン)が加わり、より緊張感のある仕上がりに。とくに、初登場にもかかわらず、ヨンが醸し出す雰囲気はなんとも言えない!お堅い人かと思えば、保安部の仲間たちには気さくで笑顔も見せ、でもウォン警視やラウに対しては少しピリついた感じもして。個人的には、頭のキレる得体の知れない人だけど、めちゃくちゃ優しいキャラクターだと思いました。また、レオン・ライが演じてるっていうのがいいですね!

そして、同じく初登場の密売人シェン。こちらも腹の内が読めない人物で、物語にどう影響してくるのかとドキドキしました💦チェン・ダオミン本人のビジュアルそのままだけに、サングラスをかけた姿は裏社会の人そのもの。でも、どこか情に厚い雰囲気もあって、ヨン同様悪い人ではなさそうな感じなんですよね。そう思わせるチェン・ダオミンの演技がすごい。

本作の見どころは、現在と過去を行き来しながら、ヤンが死ぬ前までの出来事が描かれていること。1作目でヤンがギプスをつけていた理由が明らかになり、シェンが足を引きずっている理由もわかります。隠されていた真実がわかるとともに、現在のラウやヨン、シェンたちと複雑に絡みあい救いのないラストへって感じ。いろんな思惑が交錯し、結局誰が悪で善でっていうのは関係なかったな最後は…。ラウはもはや罪の意識に苛まれ、別の人格がいたわけだし。だんだんラウじゃなくなっていくみたいな演技がよかったです。ほんとうにラウは善人になりたかったんだろうなあ。でもたくさんの十字架を背負いすぎたよ…ラウにとっては残酷な結末でした。ヤンの弔いのため、真実を明らかにするためなら死んでもいいという、ヨン警視の覚悟みたいなのもよかったですね。「いつか3人で再会しよう」の言葉が重い。明日が過ぎれば無事なはずなのにって思うとほんまに切ない。

本シリーズ3作品とも重厚なマフィア映画だけど、どこか切なさもあって本当に名作。さすがに1作目は泣かなくなったけど、3作目はまだ泣くなぁ(苦笑)

「運命は人を変えるが、人は運命を変えられない」この言葉がぶっ刺さる。

ミニシアターでしたが、香港ノワールの金字塔を3作品とも観れたのは嬉しい。日本公開20周年おめでとう!
氷雨水葵

氷雨水葵