MasaichiYaguchi

99%、いつも曇りのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

99%、いつも曇り(2023年製作の映画)
4.0
監督としても注目を集める俳優・声優の瑚海みどりさんが長編初監督・脚本を手がけ、自ら主演を務めた本作は、内容的に重くなりがちな「アスペルガー」を題材に、「普通とは」「多様性とは」何かを我々に問い掛けながら、一条の希望を感じさせるストーリーを展開する。
第17回田辺・弁慶映画祭でグランプリほか5冠を獲得した本作は、アスペルガー傾向にある女性を主人公に、「発達障害」という言葉の違和感や他者と共に生きることのメッセージを描く。
正義感が強くお喋りでパワフルな45歳の楠木一葉は、母親の一周忌で会った叔父から子どもを作らないのかと聞かれて大きく揺れ動く。
生理も来なくなり子どもは作れないと言い放つ一葉だったが、夫の大地は子どもを欲しがっている様に感じられる。
15年前に流産した経験があり子作りに前向きになれない彼女は、自分がアスペルガー傾向にあることに悩んでいる。
養子を迎えるよう勧められるも、一葉と大地の想いは次第に擦れ違っていってしまう。
長年連れ添う夫婦でも、夫々、色々抱えているものがある。
だから擦れ違いが度重なったりすると、離婚ということになってしまう。
タイトルではないが、すっきりしないもやもやを抱え、いつも曇天のような日々を送っている人も少なからずいると思う。
だが、本作は残り1%に一縷の望みを掛けて、我々に光と温もりを投げ掛けてくれる。