いんしょーと

99%、いつも曇りのいんしょーとのレビュー・感想・評価

99%、いつも曇り(2023年製作の映画)
3.9
田辺・弁慶映画祭のグランプリ受賞作。アスペルガー傾向、発達障害の "グレーゾーン" の中高年女性を軸にした映画…という前情報ありきで観にいった。でも映画の中では診断がついているわけではなく。自分の生き方をありたい自分とうまく帳尻合わせできない、そんな描かれ方には覚えもあって。
簡単に「わかる」とは言えないけれど。
ある部分にこだわりを持ってしまったり、なんてことないところに引っかかったり、そんな時に自身でも不協和音を発してるとわかるのに、さらに引き込んでどんどん不調が膨れていくこと。その苦しさは知ってる。
そこから救い出す、ではなく、一緒にもがいて思いの発端を探してくれて。そんな人たちが一葉の周りにいてくれて、本当に良かった。

大きなトラウマが、自分自身も、そして自分自身にとって一番大切な関係をも否定し得ること。それって苦しい。
あるきっかけで、カチッと綺麗に和音にはまると、ポジティブに切り替わるのであれば、その特性って良いな、などと無責任に思ったりもした。