Breminger

違う惑星の変な恋人のBremingerのネタバレレビュー・内容・結末

違う惑星の変な恋人(2023年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

近くの劇場ではやっておらず、少し遠出になりましたが、こういう不思議な恋愛劇が好きなのでそりゃ観に行きますよ!というノリで鑑賞。今年も中島歩さんにはお世話になりそうです。

めっっっちゃ好き!な作品でした。四角関係という一歩踏み間違えたらドロドロした恋愛劇になりそうなところを、ちょっと変な4人が繰り広げる会話が超面白くて、それでいて可愛らしくてずっと楽しい作品でした。

最初は同じ美容院で働くむっちゃんとグリコが意気投合して、一緒に行ったライブ会場で出会ったレコード会社のベンジーさんにむっちゃんが惹かれていき、グリコの元彼のモーくんが挙動不審すぎる状態で現れて、物語の軸になる4人が合流して展開されるオムニバス的な映画でした。

むっちゃんとベンジーさんの気まずい中で生まれる会話の中で、なぜかホテルの朝ごはんで意気投合して、一緒にホテル行きましょう!なんてむっちゃんが言っちゃうんもんですから笑ってしまいました。
このホテルの朝ごはんという特別な環境で、米とパンを一緒に食べたり、牛乳とオレンジジュースを一緒に飲んだりというプチ贅沢の話にはもう共感せざるをえませんでした。

むっちゃんとモーくんが最初は警戒しまくってたのに(主にモーくんの奇行)、だんだんと打ち解けてきて、一緒に恋人作りの手伝いをしたり、ボーリング場に通って遊んだり、なんならむっちゃんの家にいったりと、4人の中でもコミュ障よりの2人が慌てふためく様子が最高に可愛かったです。
試行錯誤する中で、モーくんがむっちゃんを好きになってしまう過程も愛おしく、モーくん懸命に頑張ってたなぁと拍手を送りたくなりました。

グリコとベンジーさんのちょっと際どい関係性も、グリコは仲の良い友達くらいの感覚で、ベンジーさんは色んな女性を虜にする罪人で、てっきりグリコと付き合ってるもんだと思っていたりと、微妙に噛み合っていないやり取りが良かったです。ベンジーさんほんまもんのクズなのに、なんでこんなに魅力的に見えるんだろう…。

グリコもグリコでモーくんの事を忘れられず、後をつけて、喫茶店で延々コーヒーとキャンディを嗜んで、キャンディってコーヒーにつけるためにあるの?という中々突拍子のない質問を投げかけてしまうのに、店員さんは困惑しながらも答えを模索してくれたり、ビスケットをコーヒーにつけて食べることの名前を教えてくれたりと、真摯に対応してくれていたシーンがほっこりしました。その後ベンジーさんとモーくんが合流して気まずい流れになるのも好きです。

最終的に4人揃って、スポーツバーなのにスポーツを見ずに四角関係を整理しようとする流れになるのに、矢印の順番に並んだ方がいいんじゃないかという割とどうでもいい事で会話が広がっていきますし、ベンジーさん地雷ばっか踏みまくるしで、このバーのシーンの淡々とした会話劇はニヤニヤが止まりませんでした。

色々話し合ってもあまり進まない関係性、その中でも自分のダメなところは分かってるからなんとか直したいなーとは思いつつも、それ含めて受け入れてくれる人がいるというささやかな喜びがオチになっていたのも心穏やかになれました。

中島歩さんはやはり最高!モテるクズ男をやらせたら右に出るものはいないくらいのどハマりっぷりで、しかもあまり人間関係上手じゃないのに背伸びして上っ面で世間を渡ってきた感じがこれでもかってくらい表現されていて、そりゃオチちゃうわなーと思いました。
筧美和子さんの世渡り上手と見せて意外と下手なのも人間味溢れていて良かったです。
莉子さんの雑なマシンガントーク&沈黙のギャップの楽しくて、今までの作品でも一番ハマっていたんじゃないかなと思いました。
綱啓永さんの怪しさ満点の行動から勇気を出して一歩踏み出す様子の演技が最高でした。リュウソウジャーからここまで来るとは…。なんだか嬉しかったです。

去年やってた「こいびとのみつけかた」の究極版が今作だった気がします。ちょっと変だけど憎めない恋愛劇はやはり楽しかったです。木村監督は追いかけなきゃならんなと思いました。
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