カタパルトスープレックス

違う惑星の変な恋人のカタパルトスープレックスのレビュー・感想・評価

違う惑星の変な恋人(2023年製作の映画)
4.5
木村聡志監督による独特の間がおもしろい会話劇です。どことなく初期のジム・ジャームッシュ監督作品を彷彿させる間の面白み。

まず、キャラクター造形が見事。主人公の四人のキャラクターがしっかりと描かれている。四人それぞれに感情移入できる。これって、なかなかすごいことですよ。むっちゃん(莉子)とモー(綱啓永)の会話のズレもそうだし、ベンジー(中島歩)の打算もそうだし、グリコ(筧美和子)の距離感もそう。わかっちゃう。そして、ボーリング場のカップルとか、みらん演じる歌手もちゃんとキャラクターが立ってる。

ストーリーは他愛ないんだけど、個性的なキャラクターが動く舞台装置としては十分。そして、コメディーとしてちゃんと笑える。映画で「笑える」とか「爆笑した」って心のなかでのことが多くないですか?だって、劇場でそれほどゲラゲラ笑ってる人を見たことないもの。でも、本作は自分は声を出して何回も笑ったし、劇場の人たちもたくさん笑ってた。心の中の話ではなく、文字通り笑った。

本作にこれといったテーマを見出すことはできなかったのだけど、コメディだと思えばまあいっかって感じ。