軽快にビンタ
【俺に明日はない】
ジャンリュックゴダールの長編初監督作です。
公開自体は「女は女である」が先でありますが、制作はこちらが先行。原案にはフランソワトリュフォー、技術協力にクロードシャブロル、といかにもな大御所達が名を連ねます。
ヌーベルバーグの誕生を告げる”記念碑的作品”とやたら揶揄されております。
ジャンプカットだとか、えっぐい長撮り、高感度フィルムによる克明なショットなど、技術面で革新を貫いています。過去の作品からの素敵な引用も目立ちながら、時間や制約を玉砕して進む自由奔放ぶりも心地がいいです。
【至言のバーゲンセール】
ジャンポールベルモンドと、ジーンセバーグの男女の噛み合わせも素敵です。多分、あの部屋での問答が1番尺を食ってるのでは。
次から次へと溢れ出す台詞の数々は、ゴダールの男女観、恋愛観を観るようであります。行き当たりばったりじみた会話模様がどうにも魅力的で、カメラの導線がそこへ奥行きを与えているのです。
【死の舞踏的まとめ】
多様な表現の目立つ作品ですが、これが技術だけの至芸でないことは後追い達の失敗が証明しています。
やはり唯一無二、そしてあわよくばベルモンドのように、当たり障りなく女性を誘える男になってみたい。