ゆりな

勝手にしやがれのゆりなのレビュー・感想・評価

勝手にしやがれ(1960年製作の映画)
3.6
えっ、乗っけから明るいじゃん!なんとなくゴダールだから暗い映画と思っていたら……コメディなのね。流れる音楽もテンポも早い。
チャップリンの映画かと思っちゃった。同じテーマ曲がずっと流れる。

常に「逃避行」がテーマのゴダールだから、序盤から終わりどうなるの?と気になってしまった。江國香織・井上荒野が映画の本で「ロードムービーの結末はハッピーエンドか死しかない」と語っていて頷いちゃったよね。
冒頭の「勝手にしやがれ!」今で言う、第四の壁じゃあん。
ゴダール28歳なのか、すごいな……。

ショートヘアにパンツ、フラットシューズのジーン・セバーグは少年みたい。この破天荒さと自信に溢れた瞳。「500日のサマー」のサマー、絶対モデルにしたよね?

スタイルも死ぬほどいい訳ではないけれど、やっと開始30分で顔がアップになる。その可愛さは人形!ゴダール、なんでもっと色っぽく撮ってくれなかったの(笑)
パトリシア(ジーン・セバーグ)まだ、20歳なのね。そりゃ、色気より少年ぽさがあって当然だ。少し弱々しい話し方に少女感を感じた。

で、一方ミシェル(ジャン=ポール・ベルモンド)がクズ男なのでかっこよさが分からなかった(笑)
どこがかっこいいの?と思ったら、ミシェルは全部ハンフリー・ボガートの真似!

ゴダールはかっこいい男を描くのかと思いきや、そうではなく夢も見させないところが、また良いし愛すべきポイント。
ルックスを鼻にかけた女にもお金にもクズな男が、努力なしにハッピーエンド……なんてつまらないもんね。

以下「映画ムダ話」より。


・これタランティーノと同じだから!トゥルー・ロマンス」を思い出す。最近はこうゆう逃避行映画、見かけていない気がするなぁ。

・当時注目されたのは編集技術。画期的だったがただ今の人から観るとピンと来ない。
この映画の凄さは本編の魅力だけじゃなく、自主制作映画ブームを巻き起こしたこと。
ゆりな

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