ノラネコの呑んで観るシネマ

ラストターン 福山健二71歳、二度目の青春のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

4.3
素敵な映画だった。
妻に先立たれた独居老人の岩城滉一が、ひょんなことから水泳教室に通い始める。
そして伸び悩む現役選手兼コーチの高月彩良と出会い、お互いに少しずつ影響し合って変わってゆく。
ハリウッド映画みたいに、どっぷりとした絡みにはならない。
あくまでもコーチと生徒として最低限の関係性だが、そこがいい。
主人公は誰にも迷惑をかけずに死にたいと言う、日本人にありがちな願望を抱いていて、誰かに頼ることをよしとしない。
でも実際には殆どの人は、誰かに頼ったり頼られたりしながら生きている。
若いコーチからその気付きをもらった主人公は、71歳にして成長してゆくのだ。
高月彩良もいいのだが、久しぶりの主演を務める岩城滉一が素晴らしい。
あくまで歳相応な人物を味わい深く、しかしダンディに演じた。
私もそろそろジジイの年齢に近付いて来てるので、彼の10%でもカッコいいジジイになりたいものだ。
現実には友だち役の田山涼成に近いけどw
私的には久万真路監督のベスト。