ヤスマサ

ネズミ捕りの男のヤスマサのレビュー・感想・評価

ネズミ捕りの男(2023年製作の映画)
3.7
ウェス・アンダーソンによるロアルド・ダール原作4部作の3作目。
ネズミを熟知し、ネズミ捕りを生業とする男の話し。
原作同様、ネズミ捕りの男(レイフ・ファインズ)、クロード(ルパート・フレンド)、物語の語り手の私(リチャード・アイオアディ)の三人称で物語が進む。

原作の陰気な雰囲気が、ウェス・アンダーソンの世界観が包み込み、ややポップな感じになっている。
それでも気味の悪い話には違いない。
言ってみればこれはホラーだ。
執念や執着といった歪んだ思いが、人を妖怪や怪物にさせるという話しを聞くが、この話しもそんな感じ。
ネズミ捕りの男の描写はほぼネズミ。
ネズミ捕りの男は、本人も言っているが、ほぼネズミと化している、胡散臭い男だ。
原題で「The Ratcatcher」、"rat"は「ねずみ」であるが、「ろくでなし」「裏切り者」「寝返る」といった意味もある。
クロードが言う「ミスター・ネズミ男」とは、見た目だけでなく、そういったネガティブなイメージも掛かっているのではないだろうか。
終盤にかけてホラー感は増していくストーリーは、興味本位で近づくと気づいた時には思わぬ所にいるとか、執着や執念はことによると人を変えるという戒めめいたものを感じる。
ヤスマサ

ヤスマサ