ヤスマサ

毒のヤスマサのレビュー・感想・評価

(2023年製作の映画)
3.6
ウェス・アンダーソンによるロアルド・ダール原作4部作の4作目。
腹の上に毒蛇が乗ってきて動けなくなった男を巡る話し。
ある夜、ティンバー・ウッズ(テヴ・パテル)がバンガローに帰って来ると、ハリー(ベネディクト・カンパーバッチ)は猛毒のアマガサヘビが腹の上で眠っていると言うので、近くに住む医者ガンデルバイ(ベン・キングズレー)に助けを求める。

原作とディテールが異なるところがあるものの、ほぼほぼイメージ通り。
俯瞰でのアングルを多用し、ティンバーが語り手となって物語が進む。
3人の感情は、緊張が募るにつれてトゲトゲとしていくが、ことの次第が解決すると、それまでの緊張がお互いへの怒りと変わる様が面白い。
気恥ずかしさなのか、愚かしい様だ。
バンガローの前にはジュートの畑が広がっている。
イギリス統治下でベンガル地方に普及した産業だ。
話しに出てくるアマガサヘビとはコブラ科の蛇。
イギリス統治下のインドて、話しこそ違うが、同じ蛇が出てくる「コブラ効果」という逸話がある。
問題を解決しようとしたところ、意図した結果とは逆に問題を悪化させてしまう話しだ。
1950年というと、インドがイギリスの植民地支配から独立して間もない頃。
「毒」は、当時のインド人とイギリス人の立ち位置やお互いへの感情を、意図せざる結果に絡ませて揶揄した話しなのかも。
ヤスマサ

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