ふらぴこ

エアのふらぴこのレビュー・感想・評価

エア(2023年製作の映画)
3.6
東京国際映画祭2本目

今現在のロシアの新作がこうして見られるのは珍しい事だよな…と思ってそれだけで選んだ一本。なので、前情報はほとんど無し。

第二次世界大戦時、レニングラードで戦った女性パイロットが大勢いて、その彼女らの話。エンタメに振らず、BGMも最小限、爆音も無駄に大きくなく淡々と物語は進んでいきました。
空中戦の場面が多くて、それでどうしてもノーラン監督の「ダンケルク」を思い出したりして、どうやってこのシーンは撮ったのかな?なんて思ったり。

まぁ嫌な男もわんさか出てきて「女は炊事と男の相手してればいいんだよ」とか言う馬鹿もでてくるんですが、間髪入れずに女性達が「何よ、あんたみたいなブサイクに言われたかないわ」みたいに言い返すあたりは笑っちゃったけど、よう言った!(笑)時代が1940年代というのもあって、そういう性差の困難をくぐり抜けて、空中戦に出てあっけなく散っていく女性達を見ていると、やはり戦争なんてするもんじゃない、と思ったんですが、今のウクライナ情勢の最中、この映画を制作して大丈夫だったんかな?と思わざるをえなかった。

色々興味深かったのは、お客さんにロシア語を使う方が多かったこと(Q&Aで聞く方もロシア語の割合が多め)そして、撮影カメラマン3人中2人は女性、美術と衣装は監督の奥様が担当、他いろいろ女性が担当している割合が多くて、それであの絵面の柔らかさなのかな?なんて色々興味深い事だらけでした。

劇中にKATYA(カーチャ)という女性が出てくるのですが、どこかで見た顔、どこかで見た…どこ?と思ったんだけど、今年の頭にみた「ICE」というロシア映画の主人公を演じた俳優さんでした。あの作品、ロシアでインド映画をやったような作風でとても面白かったのに、時期が時期だっただけに初週から集客が散々な事になっていた残念なやつ…。面白かったのにね。
ふらぴこ

ふらぴこ