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ディス・マジック・モーメントのparaのレビュー・感想・評価

4.2
ちょっと読後感想文的レビュー。

リム・カーワイ監督×作家岩井圭也さんトーク付

テアトル梅田の閉館が決まり、リム監督が全国のミニシアターを回る旅に出る。
どの劇場も厳しい運営を強いられる中、なんとか街の文化の灯を守ろうとする人たち。
映画館の成り立ちや館主の努力、市民あげての運営などどの映画館の話ももっともっと伺いたくなる内容。
東京も閉館した映画館はあるけれど、映画を観る環境は恵まれていることに変わりはない。

トークでは映画館と書店の置かれている状況が非常に似ているという視点からのお話で、これまたもっと長尺の対談で聞きたかった。
岩井氏の的確でわかりやすい指摘もあり、非常に有意義でした。
日本に限らないだろうが、現代社会が効率を重視するあまり失ったもの。
文化は効率よく得るものではないし、あらすじやファスト映画では作品を理解したことにもならない。

リム監督がフランスでの教育について語られていましたし、岩井氏の「小中学校までは授業とはいえ読書習慣があるため、呼び起こしが出来れば」との談で教育の果たす役割を含めて、現在の構造にメスを入れる必要性等見直す時期なのかもしれません。

観客が出来ることは映画館に足を運ぶこと以外に何があるだろう。目に見えないものに投資するのは難しいし、既に後退しつつある日本経済で文化育成に力を入れるのは無理な気もしてしまう寂寥感。

一度は訪れたい憧れの高田世界館。
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