ノラネコの呑んで観るシネマ

西湖畔(せいこはん)に生きるのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

4.3
東京国際映画祭。
中国杭州を舞台に、茶摘みとして働く母親と、大学生の息子の物語。
まるで山水画の様な、美しい山村の風景の中で描かれる生活。
ところが、母親は仕事をクビになると、突然怪しげなマルチ商法の世界にのめり込んでしまう。
息子は必死になって母を取り戻そうとするが、組織から自己肯定感を刺激する手法で洗脳された母は聞き入れてくれない。
原題は「草木人間」。
冒頭と終盤の人と自然が調和した描写で、中盤の人間の欲望丸出しのドラマをサンドイッチした様な構造。
アプローチは相当変えてきたが、伝統的な暮らしと現代中国が抱える歪みのコントラストは「春江水暖」とも通じる。
主人公親子を演じる、ウー・レイ、ジャン・チンチンが素晴らしい。
人はなぜ、怪しさ満点の詐欺にころっと引っかかってしまうのだろうな。