はぐれ

西湖畔(せいこはん)に生きるのはぐれのレビュー・感想・評価

3.0
山水絵巻シリーズ第二弾。前作からかなりアプローチを変えてきたグー・シャオガン監督。山水画のように美しい中国の茶畑のスケッチの間に金欲にまみれた人間の醜いドラマを挟む構造はわからなくはないが少々唐突すぎるというか、頭と結末のバンズとの関連性が弱いように感じてしまった。

ティーチンで監督が影響を受けたと言われていたホウ・シャオシェンや是枝裕和みたいに時代性や社会性を物語に持たせたい気概は感じられるが、マルチ商法の描写がちょっとステレオタイプから脱していない印象を受けてしまった。また終始風景画に頼ってしまっていて主人公の心情をモノローグやナレーションで説明しすぎるきらいがあるので、そこはドラマや映像で語って欲しい。

ただ、前作から続くまるで長い絵巻物を眺めているかの様なトラッキングショットは見惚れるほど素晴らしいので、いつの日か中国の壮麗な大自然の映像と急激な経済成長に取り残された市民の物語を融合させて大傑作を撮ってほしい。
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