あなぐらむ

接吻泥棒のあなぐらむのレビュー・感想・評価

接吻泥棒(1960年製作の映画)
3.9
石原慎太郎の原作を軽快ドタバタ喜劇に仕上げた川島雄三愛すべき小品。
拳闘王者でモテモテな宝田明の役名が高田明だったり、石原センセイ自ら出演してのメタフィクション的オチ等、徹底的に遊んでみせる演出が痛快。女子高生!でお嬢様な団令子の関西弁も可愛い。

明を巡る三人の女、バーのマダム:新珠三千代、デザイナー:草笛光子、ダンサーに北あけみと適材適所で、恋のさや当てが狂騒的に描かれ賑やか楽しさこのうえない。沢村貞子も楽しそうなシスター役。女子学生役でちょいと星由里子も登場、北あけみは東宝の中原早苗枠だね。
TOHOスコープの画面を分割してみせたり特撮があったりと飽きさせない。拳闘シーンもちゃんと見応え有り。
まさにスクリューボール・コメディといったハイテンポで駆け抜ける川島雄三的「やっつけ仕事」の滋味。