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彼方にのdm10foreverのレビュー・感想・評価

彼方に(2023年製作の映画)
3.9
【心の行き場所】

またまたNetflixで見つけた短編作品。
でもこれはハロウィンも何も関係ない正統派のドラマ。

ある日、通り魔に大切な家族を一瞬で奪われてしまった男の喪失の日々…。

どんなに大切に思っていたって、どんなに守っていたって、幸せが手のひらからこぼれ落ちていくのは本当に一瞬の出来事。

主人公のダヨは自分が目を離したほんの一瞬に愛する娘のローラと妻を失ってしまう。
失意のダヨは仕事も辞め、今はライドシェアのドライバーとして虚しい日々を生きていた。

なんかね…
愛する家族をこういう形で失った哀しみを僕は経験したことはないけど、きっと、失った哀しみよりも、自分だけがこの世に残された事の方が苦しいんじゃないかな…って思っちゃうんですよね😢

寝ても覚めても、未来永劫消えることのない喪失感…

もしかしたら「ライドシェアのドライバー」という仕事を選んだのも、一人にならないためだったのかな…って気もしました。

日常の中で生きることで、何とか押し潰されそうな心を保っているかのように…

そんなある日載せた一組の親子。
年の頃ならローラと同じくらいの女の子とその両親の3人だったが、まあまあこの両親が仲が悪い。
ダヨの前だろうが娘の前だろうがお構いなしに互いを罵り合う。
間に挟まれた娘はずっと悲しい顔をしていた。
そしてその娘にローラの面影を重ねて見ていたダヨは、その娘の悲しそうな表情を見て居たたまれない気持ちになってしまう…

ローラが生きていればこれくらいの年だったかな…

今生きていたらどんな子になっていたかな…

幸せに生きてくれていたかな…

そんな想いが募れば募るほど、その娘の悲しそうな顔が胸を締め付ける。
そして、そんな彼の眼差しに気がついた少女は…

前に観た2作(「ビフォア・マイ・アイズ」と「ダンスインフェルノ」)とは逆で、この時間の長さをうまく利用していた気がした。
ラストはちょっと切なかったな…😢


丁度、昨日のニュースで「池袋上級国民暴走殺人事件」について民事で1億4千万の損害賠償を命じる判決が出た。
失われた命は二度と戻ってこない。
残された遺族はその現実と一生向き合い続けなければいけない。
償っても償いきれないことかもしれないけど、だからといって償わなくてもいいという理屈にはならない。

さだまさしの「償い」を聴くたびに色んな事を考えてしまって、いつも泣いてしまう。

俺も年なのかな…😅
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