Breminger

ゴールド・ボーイのBremingerのネタバレレビュー・内容・結末

ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

今週気になる作品少ないなぁと思いながらも、興味があり前評判の良かった今作に飛び込み鑑賞。
実写版「デスノート」の金子監督というのも興味をそそるものでした。

中々にスリリングな作品でした。役者陣の濃密な演技合戦に騙し騙され、欺き欺かれの怒涛の展開にドーパミン大量放出でした。

序盤は殺人現場を遠目で見てしまった中学生たちがどう解決するのかというものかと思ったのですが、初っ端から脅して金を取ろうと言い出したあたりから、これはまともに終わらないなと直感で感じてしまいました。
浩と夏月は父親、そして朝陽と自殺した同級生の母親と確執があり、そこからの脱却も兼ねてお金を集める模様と同時進行で昇を脅したりもしますが、そこは冷静な昇が駆け引きを持ちかけたりと、頭のキレる者同士のバチバチは見応え抜群でした。

子供が明確な悪意を持った瞬間は本当に恐ろしくて、しかもそれが演技という見る側も大人も分かっているはずなのになぜか見抜けない、いや信じたくない様子に緊張感が走りまくりでした。

朝陽が全てを掌握しているかの如くコントロールし出したのが鳥肌もので、自殺した子は普通に朝陽が殺していて、うまいこと昇に誘導させて邪魔者になりそうな父親と再婚相手を殺させて、自分は動画に入ってないからといって友人たちも遠回しに殺すというえげつないムーブをかましていったのは予想を超えるものがやってきた…と驚かされました。うまく橋渡りしてきた昇ですら欺いて首を刺して5分以内に殺すという常習犯ですか?ってくらいの手つきの良さもサイコみに拍車をかけていました。

終わり方もかなり好みで、事件全体を有耶無耶にするのでもなく、かといって最後まで残った朝陽を逃すわけでもない、真実が明らかになってしまった顔を映して終わるという程よい余韻を残しての終わり方がとても秀逸でした。
黒木華さんの息子を裏切ってしまったという切ない表情がこれまたいい…。黒木さんは邦画に欠かせない人だなと再認識しました。

役者陣はもう最高としか言いようがありません。
どう見たって悪人の匂いが隠しきれていない岡田くんの作り笑顔や世渡り上手っぷりがもう最高でしたし、子供たち、特に羽村仁成くんが素晴らしすぎました。「リボルバー・リリー」の時はそこまで印象に残っていなかったのに、今作でガラッと雰囲気もセリフも変わっていて痺れました。星乃あんなさんは「キングオージャー」で拝見していましたが、王道ヒロイン×切なすぎるラストや後日談がビシッとハマっていてこれは今すぐにでも大化けするなと思いました。すでに次回作が楽しみです。

生ぬるい邦画では体験できない完成度の高い作品でした。少々安っぽさがあるのは否めませんが、こういう心を抉る作品はなんぼあってもいいなと思いました。原作未読なので2があるなら喜んで観に行きます。
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