晶

ゴールド・ボーイの晶のレビュー・感想・評価

ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)
4.5
金子監督の描く、夏休みは最高だ。
監督の初期名作を挙げろと言われれば、大体の人は「毎日が夏休み」「1999年の夏休み」の二作を外すことはないだろう。
そして、ついに監督の長いキャリアの中で(ガメラシリーズを除いて)最高の境地に達したと思われる今作も、やはりと言うべきか、見事に夏休みの映画だった。
だからこのチラシと題字は、映画の印象に全然合ってない。(エンドロールが終わったあとに差し込まれた続編を匂わす超ダサい映像も、同じようなセンスを感じ、正直、寒かった。)
この作品のイメージはもっとクールだ。
終わることがあらかじめ分かっているクールでブルーな沖縄の夏休みだ。
だからこそ、少年少女たちの過ごす瞬間瞬間が愛おしい。
それは、明らかに金子演出のなせる業で、プロデューサー陣の打ち出したかった作品イメージとは少し違うのだろう。

映画本編とのズレと言えば、金子作品の多くはエンディングに過度にセンチメンタルな日本語の歌が流れて「なんか内容に合ってなくない?」と妙な気分になりがちだ。
今作も、そうだった。
倖田來未だから金子監督は歌詞書いてないだろうに、ガメラ3のエンディング「もういちど教えてほしい」と同じような印象の曲が流れ、不思議な気持ちになった。
どんな夏休みだったにせよ、終わってしまうのはみんな寂しいよね。そう語り掛けてくるようだ。
中国大ヒットのツイストの効きまくったパンチのあるストーリーを、金子修介監督のクールなセンチメンタリズムが包み込み、ジュブナイルサスペンスとでも言うべき、愛しい名作が生まれた。
ともかく最初から最後までめちゃくちゃ面白かった。
晶