jonajona

ゴールド・ボーイのjonajonaのレビュー・感想・評価

ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)
4.5
すごい面白かった。
邦画っぽくない容赦ないノワールだなと思ってたら中国原作らしい。

役者陣が子供の子たちも含めてみんな良かったのでのめり込んで見れた。特に主役の子は昔のジュブナイル映画に出てそうな声と出立ちをしてて王道な感じが素晴らしかった。あとヒロインの女の子が思春期の尖ってる雰囲気を醸してていいし、その兄のアホな子は唯一の清涼剤として沖縄と聞くとイメージする陽気な(しかしちょっと凶暴な)人柄を演じてていい。まぁ全部よかった。
岡田将生さんは安定の凶悪な笑顔を見せてくれる。サイコ殺人犯なのにどんどん子供たちに追い詰められていく構図はとても面白い。
子供たちにとって200万くらいがリアリティがあって何千万てなるとデカすぎて分かんないからまぁどっちでもいいか!てなるのはほんと可愛くて面白かった。
というか自分もあんま分かってないかも。

舞台が沖縄なのも素晴らしい。一見エキゾチックで温かい観光地のイメージ…てところが少年少女に社会が求めるイメージと一致してる。だけど内情は…というのが肝なところで、流れ作業みたいにナイフでカツアゲする友人や『僕たちの問題ってお金があれば全部解決しない?』って主人公のあさひ君が言うシーンなんか見事にギャップが効いててぞっとする。
沖縄の日差しの強さが夏映画としての味わいも深めてるように感じる。

好みで言うと中盤以降もう少し拍車をかけて、まさか!のその先の展開をハードで色濃く描いてたら抜群!って思った。十二分におもろかったんですが。まさか!の部分が割と序盤からどう考えてもそれとしか思えなかったので後半からミステリのフックとしては弱かったように思えてしまった。

エンディングの倖田來未だけは納得いかなくて、先に館内を出ようとしたものの出口の避難灯が見えず真っ暗な中カーテンを出たり入ったりして同じ席に戻ったバカはあたしです。
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