コマミー

緑の夜のコマミーのレビュー・感想・評価

緑の夜(2023年製作の映画)
3.8
【抑圧と搾取から逃げる】


[こんなクリスマス映画を観た2024🎄番外編]

※fans voice様のオンライン試写会での鑑賞。クリスマスシーズンから外れた作品の為、番外編として紹介





「テルマ&ルイーズ」を想起させるような作品だった。だが、「テルマ&ルイーズ」のように芯から"女性解放"を感じる作品ではなく、この「緑の夜」に関しては"現実的"に考えて、極めて今後も起きようとしている"深刻さ"も感じるラストで幕を閉じた。
"韓国"も"中国"も、女性蔑視や外国人に対してまだ"厳しい目"を持っている国である。今までの二国の映画やドラマで描かれた格差に関しても決して全てがフィクションという訳ではなく、現実的な面も極めて多い。

本作は、その中の一つ"女性蔑視・男性優位社会の闇"を"ロードムービー"を交えて伝えた作品の一つであり、そんな社会を生きる2人の若き女優:"ファン・ビンビン"と"イ・ジュヨン"からの抑圧や搾取に対しての"怒り"も、演技から込められていた作品だったなと感じた。

そして本作は、"クリスマス"の雰囲気に染まってる時の物語である。クリスマスを通して、格差に苦しんでいる2人の主人公を重ね合わせて、"神の存在"に関しても描いていた作品だった。韓国に点在する"カトリックの教会"…カトリックは女性蔑視が根強い宗教だ。救いを求めようとしても、"そこには届かない"…クリスマスを苦しい表情で見つめる"ジン"の目にはそれを感じたのだ。
そんな苦しみを少しでもカバーするのが、"緑の髪の女"だ。神よりもずっと気を遣える相手が彼女であり、彼女が男性優位社会に対して"立ち向かうキッカケ"を作ったのも彼女なのである。そんな彼女を演じたイ・ジュヨンの新たな才能を発見した瞬間だった。

本作は決して明るい逃避行という訳でなく、明るいクリスマスの映画という訳でもない。ただ、「女性」の生き方の"力強さ"を引き立てる刺激的な作品であるのは間違いない…

私は本作を観て、そんな期待を感じずにはいられませんでした
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