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The Monk and the Gun(原題)のOmizuのレビュー・感想・評価

The Monk and the Gun(原題)(2023年製作の映画)
3.3
【第96回アカデミー賞 国際長編映画賞ショートリスト選出】
ブータン映画として初めてアカデミー賞にノミネートされた『ブータン 山の教室』のパオ・チョニン・ドルジ監督作品。バンクーバー映画祭で観客賞を受賞、アカデミー国際長編映画賞ショートリストにも選出された。

まるで風景画のようなポスター、映像が一部で話題になっていた作品。確かにブータンの色鮮やかな自然を切り取った映像は素晴らしいが、語り口が単調で飽きてしまった。

初めて選挙が行われた2007年を舞台に、なぜか銃を探し求める僧侶と銃コレクターのガイドをする男が交錯していく。銃を間において在俗と僧侶という相対するものを描いている。

ピンクの花やブータンの伝統的儀式、真っ青な空など映像には終始魅了される。土着のしきたりも存分に描かれている。しかしそれがもろ海外受けを狙っていて興ざめ。

話の構成としては上手いし、キャラクターも過不足なく掘り下げている。僧侶が銃を欲する理由もまぁ分かる。

ブータン映画というのを今まで観たことがなく(『ブータン 山の教室』も実は観ていない)、そういう意味では新鮮ではあった。しかしその新鮮さだけで二時間持たせるのはやや無理があったか。

全体的なレベルは高く、ブータン映画ってこんな感じなのか、という驚きはある。面白くないとは言わないが、展開や演出にもう少し捻りが欲しかった。これは日本公開ラインぎりぎりだろうな。
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