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The Peasants(英題)のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

The Peasants(英題)(2023年製作の映画)
3.0
[ポーランド、大地主老人と結婚させられた少女の物語] 60点

2024年アカデミー国際長編映画賞ポーランド代表。ポーランドのノーベル賞作家ヴワディスワフ・レイモントによる代表作『農民』の映画化作品。原作は20世紀初頭のポーランドの農村の春夏秋冬を描いた1000ページ近くある叙事詩であり、本作品も秋冬春夏と季節を変化させて章立てしている。また、前作『ゴッホ 最期の手紙』と同様に、本作品も油絵ロトスコープで表現されており、特に季節の転換をマジカルに終わらせる瞬間や、中盤にある醜悪なおじさんが集う結婚式は素晴らしい。一方、終盤ではわざとコマを飛ばすなどの演出が含まれるのだが、これは実写と比較したフォーカスの甘さも相まって通信環境が悪くなった動画みたいであまり上手く機能してなかった。その他、ほぼ実写じゃないか!と思わせるシーンも多々あったが、それなら実写で良くね?とも思うほどアニメならではの表現は希薄で、手段が先に来てしまった感が否めない(悲しいかな長い製作期間の間にAIによる気持ち悪い連続性を持った動画というのが短期間で氾濫してしまったために、我々はその違和感のようなものにすら慣れてしまったのだ)。物語はポーランドの農村で暮らす少女ヤグナを主人公としている。彼女は大地主マチェイの息子で既婚者のアンテクと恋している。しかし、子供たちと仲が悪く、彼らに土地や財産を渡したくないマチェイの策略によって、ヤグナは彼と結婚することになってしまう云々。基本的に男たちはカスばかりで、女たちも不倫に溺れるヤグナに対して嫌がらせと陰口ばかり。ヤグナも特にやり返すわけでもないので、延々とそれが繰り返される(やり返したところで変わらんとは思うが)。貴族との土地問題で起こった小競り合いの末にマチェイが亡くなり、アンテクが逮捕されると、アンテクの妻ハンカとマチェイの義理の息子ミハウが相続問題の主導権争いに乱入してくるが、ここでもヤグナは動かない。その結果、言いがかりによって村を追い出されるが、"こんな村に思い残しなんてない、清々した"みたいな顔して去っていくのだ。色々と生ぬるすぎるだろ。
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